「お金より大事なものとは何か。」

この問いに命をかけて向き合った人がいます。

著者の山崎元さんは日本を代表する経済評論家として長年活躍してきた人物です。2022年の夏に食道がんのステージIIIと診断され、2024年1月に逝去されました。本書はがんの各局面での考え方や意思決定の記録であり、死の直前まで書き続けた遺稿も収録されています。

お金のプロが死を目前にして気づいた人生の本質とは何か。その答えがこの一冊に詰まっています。

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1. 毎年、内視鏡検査を受けた方がいい

著者がまず読者に伝えたいのは、がん検診の重要性です。

がんは特別な人だけがなる病気ではありません。食道がんは初期症状が出にくく、気づいた時にはすでに進行しているケースが多い病気です。著者自身も症状を感じて検査を受けた時にはステージIIIでした。

めんどうでも毎年内視鏡検査を受けることを強く勧めています。早期発見できれば治療の選択肢は大きく広がります。健康を後回しにしていい理由はどこにもありません。


2. がん保険は必要ない、貯金で十分

経済評論家らしい冷静な視点で著者が伝えるのが、がん保険への考え方です。

著者自身はがん保険に加入していませんでした。実際に治療にかかった費用を計算した結果、貯金で十分対応できたと結論づけています。

がん保険は「不安に対処するための保険」であって、経済的合理性は低いことが多いのです。保険料を払い続けるよりも、その分を貯蓄や投資に回す方が長期的には賢い選択になります。保険の必要性は感情ではなく数字で冷静に判断すべきだと著者は主張しています。


3. がん患者は情報が集まりすぎてパンクしがち

がんになると周囲から大量の情報が押し寄せてきます。

「あの治療法がいい」「この食事を試してみて」「あの病院が有名だよ」。善意からの情報ではありますが、患者にとってはこれが大きな負担になります。

著者は情報を拾うか捨てるかの判断が重要だと言います。信頼できる医師の意見を軸に置き、SNSや口コミ情報に振り回されないようにすることが大切です。情報の取捨選択こそが、がん患者にとって最も重要なスキルの一つなのです。


4. むやみにアドバイスしない

がん患者への接し方について、著者は率直に伝えています。

アドバイスする側は気持ちがいいのですが、アドバイスされる側は不快に感じることが多いのです。「前向きに考えて」「きっと治るよ」という言葉でさえ、当事者には重荷になることがあります。

本当の親切とは何か。著者は「癌患者には親切にしないで」という言葉でそれを表現しています。ただそばにいて話を聞くだけで十分なこともあるのです。


5. お金より大事なものにどうやって気づくか

著者が最終的にたどり着いた答えは何だったのでしょうか。

お金は大切です。しかしお金はあくまで手段であって目的ではありません。著者はがんになって初めて、お金よりも大切なものの存在に気づいたと語っています。

それは大切な人と過ごす時間であり、自分が本当にやりたいことであり、今この瞬間を生きることの喜びです。健康な時には当たり前すぎて気づかないことが、命の期限を意識した時に初めて輝いて見えます。

お金は「増やし方」より「使い方」こそが大切。この言葉が本書の核心を表しています。


まとめ:限られた時間をどう生きるか

本書が伝える最大のメッセージはシンプルです。

人生は有限です。だからこそ健康を守り、お金を正しく使い、本当に大切なことに時間を使う必要があります。

毎年内視鏡検査を受けること、保険を見直すこと、情報に振り回されないこと。そして何より、大切な人との時間を今この瞬間から大切にすること。

「最後の1秒まで幸福は追求できる」という著者の言葉が、心に深く刺さりました。

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